ロレムイプサムはダミーテキストです。本番の原稿がまだ書かれていないあいだ、デザ イナーがレイアウトに流し込む、崩れたラテン語のこと。出典は紀元前45年にキケロが 書き上げた論考で、それを15世紀ほどのちの印刷工が壊し、以来ずっと校正刷りやモッ クアップ、テンプレートを埋めてきました。誰もが見覚えのある一節は Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit で始まります。そして何も意味しませ ん。それこそが、この文章に与えられた仕事です。
ラテン語は実際に何と言っているのか
意味の通ることは何も言っていません。語はいずれも本物のラテン語の断片ですが、切 られ、並べ替えられ、削られて、文として成り立たなくなっています。もっとも分かり やすい証拠が lorem です。そんなラテン語の単語は存在しません。植字工が語の途中 で行を割ったときに dolorem(苦痛)から残った尻尾にすぎないのです。
瓦礫の下にあるのは、なぜ誰も苦痛そのものを求めはしないのか、という議論です。ダ ミーテキストと並べて読めば、施された手術の跡がはっきり見えます。
同じものの別の呼び名
ダミーテキスト、ダミー文、仮テキスト、埋め草。英語では placeholder text、dummy text、filler text、ドイツ語では Blindtext、フランス語では faux-texte、スペイン 語では texto de relleno。どれも同じ行為を指しています。本物の原稿が入る場所に、 言葉の形をした何かを置くこと。ロレムイプサムはそのもっとも有名な一例であり、多 くの人はランダムテキスト生成ツールでそれを用意します。
どこから来たのか
出典は『善と悪の究極について』(De finibus bonorum et malorum)。何が人生を生き るに値するものにするのかを論じたキケロの一冊で、書かれたのは紀元前45年です。該 当箇所は1.10.32。
16世紀の名も知れぬ印刷工が、この一節を活字見本のために並べ替えました。そして崩 れた版のほうが原典より長持ちしました。1960年代にはレトラセットの転写シートに乗 り、1980年代にはDTPソフトに同梱されて、今日使われているあらゆるデザインツールに たどり着きます。キケロまでの道筋を1980年代に復元したのは、ハンプデン・シドニー 大学のラテン語学者リチャード・マクリントックでした。手がかりは、この一節でもっ とも珍しい語 consectetur です。
標準テキスト(コピーしてお使いください)
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多くのテンプレートが求める分量、5段落:
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切り出された元の一節
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だが、快楽を非難し苦痛を称えるというこの誤った考えがどこから生まれたのかを説明し、真理の偉大な探究者、人間の幸福の設計者が実際に説いたところを、体系として余さず伝えよう。快楽そのものを、それが快楽であるという理由で拒み、嫌い、避ける者はいない。理性的に快楽を求める術を知らない者が、きわめて苦痛な結果に出会うだけのことだ。同じく、苦痛そのものを、それが苦痛であるという理由で愛し、追い求め、手に入れたいと願う者もいない。ただ、労苦と苦痛が大きな快楽をもたらす状況が、ときに生じるだけである。
ロレムイプサムが隠してしまうもの
ラテン語のダミーは、きめが均一です。長い複合語も、価格も、疑問符も、前の行の三 倍の長さになる行もありません。ロレムイプサムで組んだ段落が穏やかに見えるのは、 そこに難しいものが何もないからで、その穏やかさは借り物です。デザインのものでは なく、ダミーテキストのものなのです。
本物の原稿は、グリッドを壊す24文字の商品名、通貨記号、感嘆符、一行に収まらない 文を連れてやって来ます。ロレムイプサムしか知らないレイアウトがそれらに初めて出 会うのは公開後。クライアントが自分の言葉を貼り付け、なぜモックアップと違って見 えるのかと尋ねるときです。
本物の原稿のように読めるダミーテキスト
答えはダミーテキストをやめることではなく、置き換わる原稿と同じ形のダミーテキス トを使うことです。このサイトの各業種には、それぞれのテキスト集があります。見出 し、導入文、価格つきのサービス一覧、スタッフ紹介、お客様の声、よくある質問の回 答が、5言語で用意されています。手がけている案件にいちばん近い業種を選び、分量を 決めて、レイアウトが実際に支えることになる言葉を貼り付けてください。
- ロレムイプサムはどういう意味ですか?
- 意味はありません。そしてそれは意図されたものです。語頭と語尾を削られたラテン語の断片で、lorem はそもそもラテン語の単語ですらありません。印刷工が行を割ったときに dolorem(苦痛)から残った尻尾です。元の文は快楽を求め苦痛を避けることについて論じていますが、ダミー版は何も意味しません。だからこそ、誰も文章を読まずにレイアウトを見ることができます。
- ロレムイプサムの出典は?
- 紀元前45年にキケロが著した倫理学の書『善と悪の究極について』(De finibus bonorum et malorum)の1.10.32です。16世紀の印刷工が活字見本を組むために並べ替え、その崩れた版は原典より四世紀ぶん長く生き延びました。1960年代にはレトラセットの転写シートで、1980年代にはDTPソフトの中で運ばれています。
- ロレムイプサムはSEOに悪いですか?
- ラテン語だから悪い、ということはありません。検索エンジンが言語を罰することはないからです。問題はそれが示している状態のほうです。ダミーテキストのまま索引に入ったページには、順位を得る材料が何もありません。Googleのガイドラインも、目的を果たさないページを低品質として扱います。モックアップの中では無害ですが、公開URL上では、デザインをまとっただけの中身のないページです。
- 公開中のサイトにダミーテキストを載せても大丈夫ですか?
- いけません。本番に出てしまった例は、スクリーンショットの一ジャンルになるほど多くあります。公開されれば索引にも載り、共有もされ、引用もされます。ダミーテキストはステージング環境の認証の内側に置き、原稿より先にページを公開せざるを得ない場合は、言葉が届くまでサイトマップから外しておいてください。
- ロレムイプサムの代わりに何を使えばいいですか?
- 後で置き換わる原稿と同じ形をした文章です。文の長さも、数字や価格も、扱いにくい商品名も同じもの。このサイトが生成しているのはまさにそれで、53業種・5言語のテキスト集を用意しています。レイアウトは、実際に載ることになる言葉で試すべきです。